プロジェクトGだらあんま達の挑戦

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立山山麓「流しそうめん」ギネスに挑戦
プロジェクトG だらあんま達の挑戦(製作・監修 立山山麓極楽坂旅館組合)

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流しそうめん 第一章

 これは、とある夏、立山山麓の地元「旅館組合」員たちが、たかが流しそうめんを相手に繰り広げた壮絶な戦いの記録である。

このドラマには、愛や憎しみ濡れ場といった俗なものは一切存在せずただあるのは感動と執念にもにたこだわりの世界だけである。
尚、ここに登場する人物や地名はすべて実名である。当 然 な 事ながら本人に了解は得ていない。あしからず!
また、決して小さいお子様はまねをしてはいけない。 

立山山麓スキー場極楽坂旅館組合のとある会合の様子
「石田」いった 今年の夏、金はあまりかけんと体かけて何かでかいイベントやっか!
すかさず「亀山」が口をだす ゲレンデの斜面使ってソーメンながしゃどうかネ。
「恒田」が言った 考えているだけじゃもうダメだ。ソーメンでもそばでも流さんまいか。
いつも慎重な「岡本」が重い口を開いた せっかくやるがなら日本一、いやギネスに挑戦するくらいのイベントにすっか。それに、立山の称名滝をイメージすりゃ「流しそうめん」ちゃなかなかいいじゃ。称名滝も落差日本一だし。
「佐々木」が質問した 挑戦するがちゃ、長さケ、速さケ? みなが口をそろえて言った やっぱ長さだチャ。
「岩田」が静かに立ち上がって言った やるからには簡単に諦めるわけにはいかんちゃ。町をあげてのイベントにせんにゃ。
「柳野」が続いた   保健所の許可下りるかネェ。
しばらく沈黙が続いた後「石田」が口を開いた オラ明日、保健所へ行ってくっちゃ。
「恒田」が亀山の方を見てうなった 日本でながしそうめんの記録に挑戦しとる所ちゃあるがか?
「亀山」が間髪をいれずに言った 昨年8月に島根県伯太町での、820㍍が確認できとりますちゃ。(なんでそこまで知っている
冷静沈着「杉本」がこの日、初めて口を開いた ようし、820㍍以上ちゅうことか。(解りやすい意見だ)
再び「岩田」が やるがなら交流センターの運営協議会でやらんまいか。地元、地域、そして町を動かさんまいか。
再び慎重な「岡本」が 地元からの余震が町を大きく揺らすちゃいいじゃ。やらんまいけ!(意味不明)
ゲレンデをにらむ様に「恒田」が言った 所詮、イベントちゃ手弁当だじゃ。(シャレのつもりだったらしい)
「・・・・・」 ・・・・・
このイベントが、後に大変な労力と人手を必要とする事を誰も気付いてはいなかった。

流しそうめん 第二章

石田と佐々木が竹やぶに分け入った。
直径が20㎝近くもあろうか、見事なもうそう竹だ。チェンソーで竹を切る事自体、二人とも初めてだった。佐々木がつぶやく「今年の竹と前の竹、どっち切るがケ」石田が言った。「今年の竹はダメダ」
この日2㌧トラックで文珠寺地内へやって来た。しかし、竹を10本余りも切ると、枝葉がかさばりすぐに荷台は満車になった。恒田が汗でくしゃくしゃになりながら言った。820㍍繋ぐ時何本切らんならんがヨ暑さと疲労でだれもすぐに答えられなかった。しかし、竹を切り出すことも大変だが、毎回山のようになる葉や枝のかたずけがなおえらい。
もうそう竹がいくら太いと言っても根元から5㍍位しか
使い物にならなかった。820㍍に対して5㍍の竹が何本必要かは、さすがにこの日は皆、理解できた。しかし、石田と佐々木はよく休憩する。どこにいるのか、山にとけ込んでいる。さすがだ。仙人のようだ。
いよいよ竹を真っ二つに割る段階になった。皆、一応に簡単に割れると思っていた。割れない!きれいに割れない!偏ってしまい、片方が使い物にならない。現場に重苦しい空気がただよった。
恒田が重い口を開いた。
「ナタでちゃだめや。片刃はうまくいかんじゃ」精度の高い仕事を求める男として最もな意見だった。
柳野が叫んだ
「竹の節ちゃ、なんとでかいとあるネ」貞夫には聞こえなかったようだ。
石田がウインチの付いたワゴン車を持ってきた。
一本割ってみる。うまく割れた。現場が久しく活気付いた。
この日、組合員でない赤川が朝から手伝いに来た。
皆、口には出さないが一応に感謝している。と、突然ウインチが壊れた。現場の様子が一変する。
組合の頭脳杉本がじっと考えた。
「ブルとユニックでなんかできんかね」必要は発明の母とはよく言ったもんだ。前にも増して効率のよい仕掛けができた。
7月のある日
朝から現場が活気づいた。見るに見かねて地元の大先輩方が手伝いに来てくれた皆、感激した。ほんの思いつきから始めたイベントが周りを巻き込み始めた。岡本は心の中で思った。「これが大事なんだ」
しかし、
石田と佐々木はおふざけが好きだ。
朝から陽射しが強く、とてもむし暑い。
いつのまにか、日蔭用のブルーシートが張られている。先輩方の知恵は一味ちがう。
いつのまにか、
皆の家族までもが心配で手伝いに来ている。人が集団で動き出すと言葉も理屈も必要なかった
この日山元は少し落ち着きがなかった。
それもそのはず、いよいよちょう張りをだす段階まで来た。山元の出番だ。828㍍を2~3%の勾配で下る計算の開始だ。彼以外見当もつかなかった。
これゾ覗きの醍醐味だ。
ちなみに後ろの建物が今回のイベントのメイン会場になる大山農産村交流センター(名前が長い)
恒田が言った。
「8月19日に間に合うかのウ」石田は答えられなかった。杭打ちに集中し余裕がなかった。
貞夫が言った。
「何か水の代わりに流す物があればいいに」恒田がひらめいた。ビー玉とゴルフボールを持って駆け上がってきた。微妙な勾配を見極める為にはゴルフ球を転がすのが一番だった。最近亀山があまり登場しないような気がする心配いらなかった。この記録すべて”あんま”がおさめていた。
実際にそうめんを試食してもらうコーナーも出来上がった。
ここにも随所に皆の知恵と工夫がみられる。「究極の流しそうめん台」と言う者もいた。これがうわさの「そうめん返し」だ。この仕掛け考案に半日がついやされた。こだわりの職人恒田が作った。食べやすさ難易度を、5段階に分けて加工を施した左の樋は通称「スーパー流しそうめん」と呼ばれ、最も食べにくい間口10㎝仕様である。考案者は佐々木、製作はもちろん職人恒田である。どんな時でも”恒”に遊び心を忘れない「あんまらち」はさすがだ。

流しそうめん 第三章

8月のある日

8月18日(土) 本番前日

ついに完成した。
総延長 828メートル
高低差 27メートル
竹を使ってのそうめん流し世界一の長さである。
本番を明日に控えて皆少し緊張していた。
はたして当日新記録達成できるだろうか?3ヶ月もかけて準備をし、たくさんの人が見に来てくれるだろうか?
そして、明日の天気は?
「だらあんまらち」の挑戦はいよいよ大詰めをむかえようとしていた。
夏休み、そしてお盆の忙しい中をさいて一生懸命準備したこのイベントには、それぞれいろんな思いが込められて
いた。
石田が言った。
「当分の間、竹やぶとソーメンはごめんだノォ」
皆が笑った。
子供のように夢中になったこの3ヶ月だった。
「家の仕事せんと、ソーメンの事ばっかり考えとって、叱られて家庭崩壊になりかかったじゃ。」
恒田が言った。
これには、さすがに笑えなかった。

828メートルの、もうそう竹の樋が完成した。
近くで見ると迫力すら感じられる。
記録達成祈願の横断幕もできた。
亀山はだんどりだけはいい
森田が心配そうに「明日見にでかいと
来るかのう」
といった。
皆も、同様にこの事が心配だった
平成13年8月19日(日) 世界記録に挑戦の日 天候 晴れ時々曇り
絶好のそうめん日和になった。
スタッフ、この日の為のTシャツを着て集まってきた。
シャツを揃えるだけでもずいぶんイベントらしくなってきた。
皆、誰から言われるでもなく最後の準備と点検に散っていった。

流しそうめん 第四章

流しそうめん 第五章

流しそうめん 第六章